歯科医師 平井研吾(ひらいけんご)インタビュー

目次

先生について

どんな子供でしたか?

当院院長である兄に影響を受けて、中学と大学で野球をやっていました。
外で遊ぶのが好きな子供でしたね。

どんな兄弟ですか?

兄とは7歳離れているのと、小学校の時に自分は台湾にいましたが(父親の仕事)、兄は千葉の高校で寮生活だったこともあり、べったりした兄弟関係ではないですが仲はいいです。

どうして歯科医に?

叔父が歯科医師で、小さいころから診てもらい馴染みがあった影響が大きいです。

お兄さんである院長に友部駅前オレンジ歯科をやらないかと言われたとき、どう思いましたか?

ついに開業するのかという感じでしたね。
2024年4月から診療予定です。

小児歯科について

どうして歯科の中でも、小児歯科を選んだのでしょうか?

永久歯になる前に虫歯がならないような予防処置・・・例えば、親御さんに指導すれば健全な永久歯列(えいきゅうしれつ)を獲得できます。
大人になって抜歯をしてインプラントにするよりも、子供のうちから口腔ケアの習慣を身に着けて過ごせる子が一人でも多くなってほしい!という思いで、小児歯科を選びました。

そこはお兄さんである院長先生と同じ思いですね。

はい、友部の子供たちの歯を2人で守りたいと思います!

子供の虫歯予防について「感染の窓」「マイナス1歳からの予防歯科」という言葉を聞くことがあるのですが、どういうことでしょうか?また、それは今現在(インタビューは2023/11)でも同じですか?

はい、現在も同じです。
虫歯菌は周りの人から感染して口の中で定着します。
「感染の窓」(1歳半~2歳半)と呼ばれる時期に、できるだけ虫歯菌に曝露(ばくろ:さらされること)されないようにすることがとても重要です。
細菌の定着が早ければ早いほど、将来的に虫歯が多くなる可能性が高くなります。

また、子どもが生まれる前にお父さんとお母さんのお口から虫歯の細菌を少なくすると、子供の虫歯リスクも下がります。
これが「マイナス1歳からの予防歯科」です。
子どもが生まれる前から虫歯予防は始まっているのです。

赤ちゃんがお腹にいるときから虫歯予防が始まっているのですね。生まれた後、スプーンや箸を全く共有しないということは、実際には難しいですよね。

出来るだけ共有しない方がいいですが、現実は難しいからこそ両親のお口の管理はとても大事です。
お父さんお母さんは、子どもが生まれる前に歯の検診やクリーニングに来てほしいです。
当院では「マイナス1歳からの予防歯科」を実現すべく、マタニティ歯科を進めていきます!

有言実行ですね!ところで、保育士さんが常駐するキッズスペースもあるそうですが、小児歯科医から見てどう思います?

いいと思います!
子どもが歯医者に楽しんできてもらい、歯医者が怖いところにならない、治療しないところに1日も早くしたいです。

ちなみに大学院の研究科での研究はどんなことを?

骨の病気・・・歯や口腔内に症状が出る、全身の骨が弱くなって歯が抜ける先天的な病気「低ホスファターゼ症」の研究をしています。

大学病院にはどんなお子さんが来るのですか?

虫歯がたくさんあって専門的な介入が必要な場合や、心臓に病気があるけれど歯の処置をしてほしいというケースなど、開業医では設備的・技術的に難しいといった場合に紹介されてきます。
また、虫歯治療で抜歯じゃないと対応できない患者さんなど・・・乳歯を早く抜くと、永久歯がしばらくない期間があるじゃないですか。
その間にどんどん歯が寄ってきて歯並びが悪くなっちゃうので、そうならないような小児歯科用の特殊な装置を入れる治療を大学病院ではします。

大学病院のホームページを見たら子供用入れ歯があると、初めて知ったのですが。

今日も入れました。
虫歯が原因による抜歯や、ぶつけて歯が抜けた場合も使います。
乳歯は抜けたら戻さない、再植(さいしょく:抜けた歯をもう一度入れなおす)しないんです。
再植することで永久歯に影響が出るリスクがあり、入れても歯の根の治療が必要な場合があるので、そこまでして残すことはありません。
どちらかというと、抜けている間に歯並びが悪くならないような管理をします。

前歯が多いのですか?

ケガによるものだと、上の前歯ですね。

男の子で、ぶつけた歯がグラグラになったという話を聞いたことがあります。

多少のグラグラだったら止めておけばいいですが、完全にポロっと抜けた場合は永久歯が生えてくるまで装置を入れることを考えます。
ケガをするのは2歳くらいの男の子が多いです。

あとは過剰歯(かじょうし)といって、1~2本歯が多いケース。
上の前歯の裏側に出てくることがあります。
そうすると、前歯が変な方向に出ることがあるので、過剰歯を抜くことがあります。

痛そうですね。

麻酔をしっかりすれば痛くないですし、技術的にも難しくないことが多いです。

乳歯の過剰歯ですか?

永久歯の過剰歯が多いと言われていますね、ダブルで出てくることがありますね。
尖っているなど、形が明らかに違っておかしいのです。
逆向きになっている場合は、歯茎を切ることもあります。
過剰歯の抜歯は浅いところだったら当院でもできますが、深い過剰歯の場合は大きい病院か東京歯科大まで来てくれれば対応できます。
当院には「CT」(三次元で撮れるレントゲン)があるので、浅いか深いかはその場で確認できます。
CTとは?

上の唇の筋を切ってもらった子の話を聞いたことがありますが、それはどうですか?

上唇小帯(じょうしんしょうたい)ですね。
歯科健診で発見されることが多いです。
どうしたらいいか?の判断が出来ますので、まずはご相談ください。

友部駅前オレンジ歯科には、小児歯科に特化した先生がいると知れば、いろいろ聞けるなと思います。

大学病院の患者さんからも「治療が落ち着いたから、かかりつけ歯科に戻りたい。小児歯科と書いてあれば子供も診られますよね?」と聞かれますが、「診てはもらえるけど、専門的な治療や管理が出来るかは分からないです」という説明をします。

何をもって小児歯科なのですか?

しっかり予防歯科が出来るかできないか、子供だと歯のクリーニングをして終わりというところもあります。
現在だけでなく、将来的な子供の健康な口腔機能の獲得を目指すのが小児歯科です。
(詳しい小児歯科に関してはこちら
ちなみに、大学病院ではお父さんとお母さんにどんな食生活か?をしっかり聞きます。
「食事カード」に4日分くらい、朝起きてから夜寝るまでの食生活、おやつも含めて食事内容を書いてもらいます。

大学病院でもやっているのですか?

はい。
大学だと虫歯が重症な人も多いので、その場合は最初に渡して書いてきてもらいますね。

食事内容を書き出すと、気付きがある?

はい。
いつもより観察しているので、実はこっそりお菓子を食べているパターンもあるみたいです。
記録は大変だと思いますが、書く意味はあると思います。
開業医の小児歯科でもやっているところは少ないと思います。

乳歯の根っこが溶けて永久歯が生えてきます

小児歯科の虫歯治療のスタンスは?

虫歯の進行止めを塗って終わりにする先生もいますが、虫歯が大きい場合は麻酔を使って確実に除去してきます。
虫歯が進行して大きな穴があいたり、歯の根の先に膿ができたことで大人の歯がよけて出てきてしまったりすると、歯並びが悪くなります。

乳歯の根っこが溶けて永久歯が生えてくるのですね・・・乳歯が虫歯になると永久歯にどういう影響があるか知らないから、「乳歯はどうせ生え変わるんだから、虫歯になってもいいんじゃない?」と思っている人もいます。

そのようなことを知ってもらうことも小児歯科、予防歯科の大事な役割です。
それと、虫歯があるということは、すでにお口の中に虫歯の細菌がいっぱいいるということです。
6歳頃に出てくる「6歳臼歯」は、溝が深くて且つ柔らかいのですごく虫歯になりやすいです。

その時期、つまり就学前までにはお口を改善しておきたいですね。

学校に行く前に、お口も準備が必要ということですね。治療というより親御さんが知識を得てお子さんのお口をマネージメントする、という感覚ですね。

歯ブラシを頑張っても、たくさん甘いものを食べると虫歯になっちゃいます。
どういう風に食べるかを知ってもらうことも、小児歯科の大事なミッションです。

お休みの日は何を?

休みの日は何をしていますか?

本当に暇なときは献血とか。(笑)
大学1年生の日にふらっと秋葉原を歩いていたら、献血をやっていて、ちょっと入ってみたら居心地良いなと思って。
血液検査してもらえるので、自分の簡単な検診になります。(笑)

それと、銀座でフラフラすること多いです。
ちょっとカフェに入って本を読んだり、皇居の周りを歩いたり・・・そんな感じですね。
基本外に出るのが好きなので、家の中でダラダラ過ごしたくない、動いていないとだめですね。

メッセージ

患者さんとそのお父さんお母さんにメッセージをお願いします。

虫歯になってしまうのは子供のせいではないのです。
子どもに「あんなに甘いもの食べて歯磨きしないから」と怒るお母さんいますが、虫歯に関しての知識を得られていないため、起こることなのです。
まだまだ知られていないことが多いと日々感じていますので、歯科医師としてお父さんお母さんにしっかりお伝えできればと思っています。
「予防歯科をしないと将来的にものすごく大変だ」ということに気が付いてもらい、サポートして参りますのでよろしくお願いいたします。

取材後記

研究をされている先生なのでさぞかし難しい言葉使いないのかなと思ったら、そんなことは全然なく、とても分かりやすくお話ししてくださいました。
そして、直接先生に会って話すのが一番伝わる方法だなと感じました。
ご兄弟で友部の子供たちを虫歯から守ってください!よろしくお願いいたします。

インタビュー:2023/11/2